天の川

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ヘルメットをつけてたって、臭う。 そして思い出す。 「なあよ、テツ。 ルコちゃん休ませてあげようぜ」 蒼白なあたしの肩を抱くナオ君の声すら、遠くから聞こえるみたいだ。 だめだ。 固執じゃ、だめだ。 あたしが殺した。 だからあたしが、全うしなきゃ、だめだ。 「あたしは、大丈夫。埋めれる」 口は意思の通り動いてくれた。 「……」 「ルコちゃん……」 呆然とあたしを見る2人をよそに、シャベルを土の山に向かって、おもいっきり突き刺した。 投げ出さないという決心が鈍らないように。 青いヘルメットがどんどん泥で汚くなっていく。 迷彩柄のヘルメットも、黒いヘルメットも。 土が付き、泥水が跳ね、泥色に変わる。 汚くなっていく。 ナオ君とテツローさんも、あたしの罪という泥を、かぶっていく。
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