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テツローさんのポーカーフェイスは、まるで鉄仮面。
「いってえな、何だよテツロウ、ルコちゃん仲間に入れんの反対なのかよ」
「んなのどっちでもいいっつーの」
そう言い捨てて、テツローさんはジーンズのポケットからタバコを取りだし、口にくわえた。
ベビースモーカーなんだ……。
「ルコちゃん、テツローはいいって。どうする?」
再びあたしに振り向くナオ君に、
「ど、するって、でも」
混乱。
どうするって、どうする?
「いい、の?大丈夫なの?あたしなんてお荷物になるだけだよ?」
「安心して。テツローの頭脳をもってすれば、100パー警察の目を欺ける」
「ナオ」
「あ、ごめん殴んないでテツ」
そう小さい声で、片腕を自分の頭に寄せ、テツローさんの攻撃をガードする体勢をとったナオ君。
「……あの」
ショーパンで露になっている太ももに置いていた両手を、爪が食い込むまで握る。
「ナオく……ナオさん、テツローさん。
2人以外頼る人、いません。
親は九州の実家で仕送りをくれるので生活費には困りません。
むしろプラスになるようあたし節約します。
だからルームシェア、させて下さい……」
不慣れな敬語を使って、またあたしは頭を下げた。
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