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「まだ車だけど、もーすぐ着くよ。
今ね、コンビニ行ってるテツロー待ち」
甘い響きで言われて辺りをぐるぐると見渡すと、確かにあたしは車のシートに座っていた。
ナオ君は助手席、そして運転席が空席なのは、テツローさんが出ているから。
泥まみれな彼の黒いジャケットが、運転席のシートに置いてある。
そっか。
あたし達、山に死体埋めてきた帰りだ。
一気に体の力が抜けた。
「……ナオ君」
「ん?」
長く伸ばした前髪を耳にかけ、あたしなナオ君のダークブラウンの瞳を見た。
「ナオ君とテツローさんは、この辺りに住んでるの……?」
言うや否や、ナオ君はシートベルトを外し、あたしに向き合う形になった。
大きな目で見つめられると、ついどぎまぎする。
「俺達、ヨーロッパから来たんだよ」
「よ、ヨーロッパ?」
なぜか過剰反応するあたし。
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