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「ナオ君、続き話して」
「ん?よしきた」
身をさらに乗り出し、ナオ君は話の続きを始めた。
「俺とテツローが仲良くなった時には、もう個人の進路は決まってたんだ。
俺は絵描き。テツはカメラマン。
大学卒業と同時に、俺らは2人で美術の勉強のために日本を出た。
それが3年前の春。
3年間、ヨーロッパ巡って、いろんな作品や技術学んで、結構刺激的だったよ。
で、今年の春日本に帰ってきて、この近くのアパートに越してきた。
アパートっつっても3階建てのアトリエだけどね。
テツはファッション雑誌のスタッフにスカウトされて大忙し、俺も何作か売れてきて。
結局4月から6月くらいまでほっとんど自分達の時間取れてなかった。
だから7月の七夕祭りくらい、行くかっつって、行ったって訳」
“七夕祭り”をキーワードに出した時、ナオ君はばつの悪い表情をした。
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