絵と写真

8/63

1687人が本棚に入れています
本棚に追加
/338ページ
車から降りたナオ君は、あたし側の扉をスライドさせ、あたしの腕を引っ張った。 初夏の夜。 あたしは細くて固い腕とセットの手に促されるまま、車の後ろに隠れた。 「車から降りて、後ろに隠れとくんだ。 で、後ろのナンバープレートのとこに隠れて、ワッと脅かしてやろう?」 いたずらっ子の口調に、あたしの眉が下がる。 不思議と、ストーカーのことやそれに基づく不安や悲しみ等が薄らいでいた。 ナオ君と話してると、過去も未来も忘れて、自然と笑顔になれる。 ナオ君パワーだね。 埋める作業を終えたからっていうのもある。 辛い出来事を一時でも一瞬でも紛らわそうという、あたしの現実逃避もあり、 「うん」 と、力強く首を振った。 「あ」 数メートル先のコンビニの入口から、白い半袖Tシャツ姿のテツローさんが出てくるのが見えた。
/338ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1687人が本棚に入れています
本棚に追加