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車と草の茂みの間。
暗く狭い隙間に、あたし達は膝を抱え込んで座った。
あたしの左腕に、ナオ君の右腕がぶつかる。
こんな風に身を寄せ合って隠れるの、小学時代のかくれんぼぶりだ。
「きついー」
「はは、しっかも暑いね、ルコちゃん細いけどもしかして夏バテ?」
ドクン。
夏バテ、ってよりは……。
「あたし、3日前からストーカー被害にあってたの」
「……え」
「……そしたら5キロ減っちゃってて……」
3日間の集中攻撃は、かなりつらかった。
ゴミ漁り無言電話を初め、あたしの写メール、下着泥棒。
顔がわからないから余計にも増して怖かった。
1時間に1回、必ず携帯が震えた。
暑い季節なのにも関わらず布団にくるまって寝た。
そのストーカーを殺してしまったあたし。
いくら被害にあってたとはいえ、死んでほしいとまで思ったことはなかった。
「そっか……辛かったね」
鼻をすするあたしの頭を、ナオ君は優しいタッチで叩いてくれた。
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