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助けてくれたのも、スリリングを求める故、みたいなこと言ってた。
ナオ君に加担した可能性も大きい。
「あの、今日は本当にごめんなさい……」
「ルコ」
突然テツローさんがあたしの名前を呼ぶから、涙に染みる目だけを反応させた。
「どうしたの」
「1枚、撮らせろよ」
「……え?」
「写真。お前の写真」
その瞬間、頭の中でリピートされるナオ君の声。
『綺麗なもの見るとすかさず撮りたくなる』
あたしが綺麗って、まさか。
20だし、綺麗じゃないし、そもそも作業後でぼろぼろだし。
まさかテツローさんに写真を要求されるなんて思ってなかった。
「どうして撮りたいの?」
シートの背もたれに背中を預けたまま、疑問を白いTシャツの彼に投げ掛けた。
テツローさんへの恐怖心を、まだまだ若干、拭えきれないでいる。
だけど数時間前と比べたら、大分気持ちが静まった方。
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