ハイドとシーク

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  朝日が暗闇を照らすと、僕の目の前にはいつものように彼女がいる 僕達は今、世界で一番大きな美術館のエントランスにある二本の柱に各々飾られている 互いを見続けていられる、ここはお気に入りの場所だ あの時僕達を引き取りたいと申し出た人物は今、新たな主人―館長―として僕達を優しく見守ってくれている 主人は来館者が訪れると僕達の事を必ずこう説明してくれる "この二枚の絵画は向かい合わせに飾る事で初めて一つの作品となり、我々が勝手に引き離すことは許されない" 僕達が、永遠に続く"当たり前"を手に入れた瞬間 一人の青年が僕達に込めたであろう願いは、長い年月を経てようやく世に伝わったのだ  
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