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そのまま数歩前進してもう一つの死骸を使い簡易的なバリゲードを作り上げる。
ウルフは割と大型で肩幅だけでも45~60cm程度ある。
『グウウウ…アゥ!』
最後のウルフは唸りを上げながら、こちらの様子を伺っているようで向かって来ては居ない。
通常の大型犬種よりと一回り大きい位のそのウルフを2匹通路の狭い部分に無理やり挟みこんだのだ。
《一先ず膠着状態をつくりだした。
後はウルフに攻撃させずに仕留める!!!!!》
【ユーマッチ】は念の為ダガーを手に持ちなおし、警戒しつつ後方の弓を拾いに動く。
警戒しているのかウルフの動きは無いようだ。
ウルフからしてみれば狭い通路一杯に味方を詰め込まれ相手を確認することが出来ずイライラしている状態だ。
また突撃相手の出方が分からず肉壁を壊して突進することもできない様だ。
【ユーマッチ】は作り出した一時的な膠着状態を維持しながら弓を拾い、元の位置から一番遠い入り口の角に身を潜めた。
《とりあえず、【薬用粘土】で傷を塞がないと…徐々に体力が無くなる。その間に【回復薬】で体力を戻す。》
【ユーマッチ】は自身の首元付け根から溢れる血を危険と判断し、傷口を塞ぐ事にした。
ヒューマンが作り出した市販品の中では一番安い。
魔法と薬草のブレンド品で傷口に塗り込む事で止血出来、数時間傷口を塞ぎその傷の痛みや外傷を止めたり癒す効果がある。
でも一時的な物で1時間程で剥がれ落ち、その感に傷が塞がらない場合はまた痛みと出血が始まる。
怪我の具合にもよるか何度も何度も繰り返す事で外傷を綺麗に直すことも可能な物だ。
回復系統のアイテムはその効用が上がるにつれ購入額が格段に跳ね上がる。
最上級に【癒しの滴】があるがこれは超高額にて貴族や王族・最上級の将軍・上級の冒険者などが所持しているのみである。
【回復薬】を併用するのは傷は塞がっても体力(HP)は戻らない為だ。
両方の効果を併せ持つアイテムを作り出すには、相当なレベルの魔術知識者が高度な薬草知識などを習得していないと作成できない。
魔力で回復したり傷を癒したりは時間が掛り、尚且つ燃費も悪いのがこの世界における現状となる(レベル習熟度合いにより大きな差が出る)。
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