■器用貧乏の夜明け

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■器用貧乏の夜明け

朝いつものように目が覚めた気がする。 『眠い…眠すぎるわ…』 普段は携帯電話の目覚ましを利用し、スヌーズとかいう何度も鳴って起こしてくれる機能を使用しいるため、たいてい一度目が覚めて再度寝ても良いようになっている。 《んー今日は鳴らないな~?もしかしたら知らないうちに寝ぼけてOFFにしたのかもしれない。》 いつものように殆ど寝てるのか起きてるのか判断つかないような夢と現(ウツツ)の境を10時間近く過ごして、いつも通り一度目覚めてみる。 『ん?なんだ?』 直ぐに周囲の異変に気が付くが、普段から危機感が薄く投げやりで考えるのが面倒くさい俺は特に驚く事も無くすんなりと状況を見渡し視界にある情報を認識していく。 《天井高は相当なもんだな…3m位かな?たぶん真四角の部屋だと思う。大理石のような素材か?》 白いタイル状のようなものが内壁に使われていて、光源も無いのに目が痛くならない程に天井から光が出ているように感じられる。正直な感想は綺麗な部屋だ。 《かなり広いよな20畳位はあるのか?なんだか気になるものもあるし調べてみるか。》 俺が寝ていたのは黒いパイプ式のセミダブル程のベットだった。 念の為、別に調べるほどの事も無いだろうがベット全体からマットを外したり、枕カバーの中を調べたりと無意味なようだが気になったので調べてみた。 特に変わった様子も無い寝具一式ってやつだった。 個人の所持品は一切無いと思われる。 『裸だな…特に寒くは無いけどな。』 布団カバーを元に戻さず体に巻きつける。誰も見てないが一応恥じらいはあるらしい。 他に起きてからずっと気になってはいたが、あえて後回しにしていた部屋の中央あたりに多分浮いてると思われる水晶のようなものと、一つのテーブルにのった薄い冊子のようなものを観察する。 水晶は危険な香りがするので後回しにして冊子に目をやる。
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