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数日後。
今日は坂本さんと日本の金細工の商談。こう見えて仕事はしっかりやってるんデス。
坂本さんは正直、あんまり評判よくない人デス。変わり者なんだそうデス。でも本当はいい人だと僕は知ってマース。
「坂本さん、忍者って知ってマス?」
僕は商談後にそう尋ねた。
「え?あ、ああ、知ってるわよ」
坂本さんが突然の話題に驚きつつ応える。ちなみに坂本さんは男デス。
「かっこいいデスね、忍者」
「へ?...まあ、あなたからみたらそんなもんかしらねえ」
「ところで、先日可愛らしい忍者さんが私の家にきたんデス」
「へえ」
「僕、ぜひともあの子を雇いたいンデス」
「あら!恋患い?恋患いなのねっ!?」
にやにやっと坂本さんが笑う。流石に鋭いデス。
「あらヤダっ!残念ねーロンドちゃんは可愛いからアタシの彼氏にしたかったのにぃ!!」
「申し訳ありまセン」
「でっ!どんな子なのよ!?アタシのロンドちゃんに手を出したんだからそれなりの子でなきゃあー許さないんだからね!」
「これがかわいーんデスよ、エヘヘヘヘ」
「んまぁっ!イヤな子ねえ腹立つわあ。んーでも忍者ねえ。そもそもどこで会ったのよ?」
「うちの家にスパイしにきたようデス」
これこれこうだと坂本さんに説明しマス。
「あんたのとこ儲かってるもんねえ。でもそしたらあんたと敵対してるとこが送り込んできたって訳でしょ?雇うの難しいんじゃなーい?」
「お金ならいくらでもだしマス」
「金の問題じゃあないのよ。あの子たちは。前に言ったでしょー?日本人ってけっこう頑固だから金じゃなくてプライドなのよプ・ラ・イ・ド!」
「はい...」
ちょっと叱られてしまいまシタ。
「そうねえ...どうしたらいいかしらねえ」
坂本さんは唇にきゅっと指をあてて考えマス。実はけっこう美男子だったりしマス。
「よおし、じゃあねえ、あたしが知ってる忍者教えてあげる!それでその子を尾行してもらいなさいな」
「ええ!?そんな!」
それは倫理的にちょっと。ストーカーじゃん!!
「なーに言ってんのよ!正攻法じゃその子は落とせないわよ!」
「いーい!?」
ビシッと指を突きつけられる。
「恋ってのは策略をいかに張り巡らせるかなのよ!!」
えー...。
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