No.1 始まりは突然で。

5/6
前へ
/14ページ
次へ
「…ん…っ」 目を開けると、知らない天井が広がっていた。 (ここ、何処…?) 「目、覚めたか」 声のした方へ振り向くと、さっきの男の人がいた。 先輩らしきその人は、ずっと僕の頭を優しく撫でている。 「あの…ここは?」 「あぁ、学園の保健室だ。お前、いきなり倒れるから驚いたよ」 すこしおどけたような口調。 そこには敵意も悪意もない。 僕の緊張は次第に解けていった。 「えと、運んでくださったのって、貴方ですよね?……ありがとうごさいました」 滅多に使わない顔の筋肉を使い、ぎこちなくだが微笑んでみる。 すると彼は驚いたように目を見開く。そしてすぐにニッ、と微笑んだ。 「お前、そういう表情もできるんだ…いいじゃん」
/14ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5人が本棚に入れています
本棚に追加