旅館の夕食

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「おじいちゃんが子どもの頃に聞いた話しだ……。」 おもむろに、おじいちゃんが、 語り始めた。 仕方なく聞いた。 「昔、食うに困った家族がいた。 一番上の兄は、身体が弱く、 いつも寝ていて働けない。 姉はよそに奉公に出ていた。 二番目の兄がある日、 一番下の弟と裏の雪山に出かけた。 お腹空いて何もないから、 何か食べられる物を探しに行っていたのだ。」 「近くにコンビニも何も無いの?」 「コンビニが出来たのは、お父さんお母さんが子どもの時分だ! 店で買うお金も無かった……。」 紗裕はいやいや食べていた魚の塩焼きを ごくりと飲み込んだ。 「一番下の弟は、ひもじくて、 疲れたと二番目の兄に訴えた。 じゃあ、雪の穴掘って休むって事になった。」
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