旅館の夕食

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「しばらく雪の穴で、 二人は休んだ。 下の弟は、疲れたから、 そのまままうとうと眠ってしまった。」 「雪の寒い中、 寝たらマズイんでは?」 将義くんが突っ込んだ! 「そうだ! 二番目の兄は、 弟を穴の中に雪を入れて埋めた。」 「えっ!」 皆が声を揃えて驚いた。 「雪深い国で、 食い物に困った時に、 口べらしするという、 こういう悲劇は、 けっこうあったのだ……。 奉公に出したり、 年端のいかない小さな子どもは、 まだまだ奉公にゃ、 出せない事もある。」 バサ……バサバサバサ! 「きゃっ!」 「雪が木かなんかから落ちたんだろ。」 紗裕達は、 頑張って食べた。 「おじいちゃん、 奉公って?」 「商家の下働きする女中見習いとか……色々だな。 紗裕ちゃんや将義ぐらいの子どもが、 もう奉公に出ていたって事だ!」 「ふ~ん……。」 お父さん、 お母さんと離れてお仕事するって、 信じらんない。
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