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「うっ……。」
本日二回目の気絶だ。今回はちゃんと記憶がハッキリしてる。
それでも万全という事はなく、頭がクラクラする中ゆっくりと目を開けていく。
「あれ?」
(俺は確か、変な少女とのキスで洗面所で気絶したよな?……いや、そうだ。絶対にそうだ。あの気味悪いキスで……。)
だが、今、俺が目覚めたここはリビングにあるソファの上だ。
それに、さっきまでこの部屋はグチャグチャに散らかっていたはずだが、今は俺が片付けをした時のリビングの風景に戻っている。
「……夢オチ? 」
記憶がはっきりしている分、そう思いたくはないが、とりあえず軽くそう呟く。それから上半身をソファから起き上がらせ、背伸びをする。
「目が覚めましたか?」
と、突然ソファの後ろから声がかけられる。
俺は急に発せられたその声に驚き、ゆっくりその声の方向に振り返る。
「え…………。」
言葉が止まってしまった。
そこには、美しく煌めく肌に、銀色の髪。小さく整った顔だが目は何故か閉じており、黒と紫のレースの付いた西洋風のドレスを着た女性が、恐らくタオルであろう物を持ってそこに立っていた。
「だ……誰だ? 」
そんな麗しいという形容詞が一番似合うその女性に見惚れつつも、あえて強気に尋ねる。
「わたくしですか?わたくしは【ラミエール】と申します。正式には『魔王直下部隊序列第25位の叡智の魔女ラミエール』と申します。ラミネールとお呼びください。以後お見知りおきを。」
と、そのラミエールなる女性はそう言うと、スカートを小さく摘みながら軽やかに、まさしく上級階級の貴族の様にお辞儀をした。
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