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「で、何なのだお前は? 」
「それを、聞きたいのは俺だよ。」
少女はあの後、ラミエールが急いで何処かへ連れていき、帰ってきた時にはその女性と同じ様なゴスロリ系の赤と黒のドレスを着ていた。
赤みがうっすらかかった輝く髪に、ルビーの様な内側で炎が燃えているかのような瞳。それにフリルを付けた黒のドレスを合わせた彼女の美しさは思わず見惚れてしまうろど可憐でかつ壮麗だった。
ま、正直言ったらさっきの格好のほうが良かった。
あの、バスタオルオンリーとか?よくね?
少し残念な気もしたが、さっきの様に苦しそうではないので、ひとまず安心した。
机を挟んで反対側のソファにその少女がラミエールの膝の上に乗った状態で座っている。
「私は魔王だ。召喚された時にも言ったぞ。」
少女はやれやれと可愛く首を振る。
「その魔王ってなんなんだ。何かの例えか?」
今、少女を見てもどうにも魔王だとは思えなかった。
さっきまであった筈のツノが消えているし、見た目なんてどう見ても人間だ。
「魔王とはわたくし達の世界、『魔界』の王となる者の事です。」
と、今度はラミエールが口を開く。
目は開いていない……? のか?
薄目なのかは知らないが、寝ていても分からないのではないかという気がする。
「魔界?」
「はい。『魔界』です。並行世界……つまり、この世界と並行して存在するもう一つの世界です。わたくし達はその『魔界』の住人なのですが、色々あり『魔界』から世界と世界の狭間、『次元間』へと逃げていました。」
「はぁ……」
俺はいきなりの展開に戸惑いながらも相槌を打つ。
「そして、その次元間でさまよっていたわたくし達を救ってくださったのが、貴方なのです。」
「へ ? 救う?……って……もしかしてあの紙か? 俺はただ紙を広げただけなんだけど……」
「それでも、結果的にわたくし達は助かりました。」
「はぁ……」
ラミエールの話に完全に流され、軽く感謝の言葉を贈られる。
( 救ったなんて……そんな気はしないんだけど……。 )
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