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「その『ハート』とはそれぞれの世界に存在する『自分』の存在のことです。姿や性別も違いますが、それぞれには『神界』の『神族』とは違う、平行世界の全てを同次元で観測し、絶対的な存在として存在する『神』の力が振り分けられております。」
「神? ……」
「『神界』の奴らはそれぞれの『ハート』を消し、その『神』つまり、『唯一の存在』になろうと企んだのです。そして、起こったのが、神界と魔界で起こった『次元間戦争』なのです。急な神界側の宣戦布告に、わたくし達魔界側は対処しきれずに次々にやられてしまいました。そしてついに『魔界』は滅びてしまったのです。」
「え? 滅んじゃったの? 」
いろいろ聞きたいことがあったが、そのワードに引っかかった。
「えぇ、ですが、わたくし達、魔族は全員が滅んだわけではありません。」
「と、いうと?」
ラミエールの言っている意味がよく理解できない俺はラミエールに質問する。
「……それは……魔王様が、絶対服従魔法『エンゲージ』を発動したからです。エンゲージとは魔界の者なら誰でも魔力に変え、魔王自身の身体の中に収めるという魔王専用の魔法です。敗北寸前に魔王様は魔界全土にむけて『エンゲージ』を発動し、そのまま次元間に飛び込んだのです。」
ラミエールの膝の上の魔王はそうだと言うように頷く。
「んなめちゃくちゃな……。次元間……世界との狭間だったっけ?……どうやって……」
「それも、魔王様だけに許された特権です。魔界で次元間への扉を開けて通る事が出来るのは魔王様だけですので……。」
「……。で、俺がそこから召喚したと? 」
「はい。次元間からは貴方の様な他の世界の方が魔王様の形代を用いて『召喚』するか、最初から『扉』を作る事でしか脱出することは出来ません。今回は貴方が魔王様の紋章旗を用いて召喚したわけです。」
普通は信じ難いのだが、ツノの生えた少女や青い炎の柱などを見た俺は、その話を一概には否定出来なかった。
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