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いきなりの強烈な光に目が眩みながらも、なんとかゆっくりと目を開いていく。
視線を光の原因である床に広げていたあの紙に戻した瞬間、言葉を失った。
そこにはさっきの古ぼけた紙にかかれた模様が光輝いている光景と、その紙の上に淡い朱色の髪をユラユラと揺らしながら少女が浮かんでいる風景があった。
(な、なんだ?……しかも……裸!?)
その少女の肌は降ったばかりの白雪のように白銀に輝き、身体付きは幼く、見た目は中学生くらいに見える。
その光る髪を揺らしながら降り立つ姿はまるで、天使か女神が降臨してきたかの様だ。
彼女がゆっくり地面に降り立つと、煌めいている髪は揺れるのをやめ、少女はゆっくりと目開ける。
少女はボーッと覚めきっていない半開きの目で、ここが何処か確かめる様に周りを見回す。
そしてついに、ゆっくりと回って来た少女の視線が俺の目と合わさる。
戸惑いの沈黙。
次の瞬間、少女は急にハッと我に帰り、ビシッとこちらに指を差しだかと思うと睨みつけながら叫ぶ。
「私は魔界の覇者、魔王だ!!例えこの身が滅びようとも魔界は誰にもやらん!私は負けぬ!!」
少女は凄まじい剣幕でそう息を荒げて叫ぶ。
(なんなんだいきなり……。ま、何か勘違いしてるようだけど…。)
「ち、違う…違う。敵じゃない。」
とりあえずここはわけが分からないが、降参の意を示すしかない。
「…………そ、それよりも……服を……」
「敵ではない? ……騙そうったってそうはいくものか! ……私は……魔王として皆を守らなねばならんのだ! 」
俺はただ少女に「俺の服を着ろ」と言いたかっただけなのだが、その言葉を少女は掻き消す。
そして片手を腰に、もう片方を小さな胸に誇らしげに手を当てる。
「え?……」
少女はそこでやっと自分が何も着ていない事に気づいたらしい。
目を見開いて固まった表情のまま、少女はゆっくりと顔を上げる。
少女は物凄い勢いで一気に顔が赤くなり、素早く、先ほど俺が分解して置いといた段ボール箱を取ると、自分の身体を隠すように身体にダンボールを当てる。
その表情には最初の睨みよりもきついのではいかと思わせる怒りのオーラが見えた。
「こ、この………変態がぁぁぁ!!」
「は?いや、ちょっ……。」
言い訳する暇もなく、少女の回し蹴り顔にクリーンヒットし、俺は軽く飛ばされる感覚を最後に意識を失った。
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