優しさに包まれて

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私は、北野 七海。 今日から晴れて高校生デビューです。 今1番の心配、それは友達が出来るかということ。 新しい制服に新しい学校。 古いけど新しい門をくぐって、クラス表が貼り出されてる下駄箱前に足を止める。 『すごい人…』 思わずそう思ってしまうほどの人の量。 『自分の名前見つけたら、さっさと退散しよう。』 心を石にして、その人混みに挑戦状を叩き出す。 「痛ぁ……」 「大丈夫?」 優しい声に顔をあげると、1人の女の子がニコッと笑った。 「怪我…ないよね?」 ロングの黒髪がとても大人っぽくて綺麗で、見とれてしまうほど。 そんな名前を知らない天使のような人の手を取って、立ち上がる。 膝にはそこそこの擦り傷が出来てしまっていた。 「あーあ…痛いでしょ?これどうぞ。」 「あっ、ありがと。」 絆創膏を差し出してくれて、心配そうに私の膝を覗き込む天使さん。 「私はね、斎藤 桃。桃って呼んでくれたらいいからね。」 なんて可愛い人なんだろう… 女の子の模範解答みたいな子だ。 「私は…北野七海です。よろしくね。」 精一杯の自己紹介だった。 そんな私の自己紹介に桃ちゃんは「よろしく♪」って言ってくれて、握手した。 「同じクラスだったらいいのにねー。」 「そうだね。」 この時から、運命を感じてた。 この学校で……何か起こるって。
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