ベンチが特等席

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北乃「なに……?」 北乃くんのその言葉でふと現実に帰る。 「あっ、ごめんっ!またねっ。」 北乃「何か言いたそうだけど?」 まさか、こんな形で初会話すると思わなかったんだもん。 ノープランだし、ちょっと機嫌悪そうだし… 「学校…来てるなら、教室来ればいいのに。」 北乃「教室に行くまでが面倒なんだよね。」 この人…極度の極度の面倒くさがり屋さん。 もう、致命的な域に達しているかも。 「私の名前、知ってる?」 なんでこんなこと聞いてるんだろ… 同じ名前だから?だから何よ。 そんなのただの偶然じゃん。 北乃「北野……北野…なな…わかんね。」 「惜しかった。」 思わず笑顔になった。 少し嬉しかったから。 七海のななまで出たことが。 北乃「んーーっ……」 急に起き上がって伸びる北乃くん。 なんか…可愛い♪ 北乃「七海ちゃんだ。思い出した。」 「うん!そう!」 なんだか嬉しくて胸がぽかぽかして、たくさん笑えました。 北乃「俺の名前は?」 「神崎北乃くん。」 迷いなく答えた私に、北乃くんは「完璧っ。」と笑ってくれた。 もっと無口なのかと思った。 もっと可愛くないのかと思った。 もっと優しくないのかと思った。
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