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ベンチが特等席
それから1週間、北乃くんとは特に話すこともなく、ただ必死に新しい学校生活をこなしていた。
ほのか「北乃くん休み?」
「ん?サボりじゃねーの?」
そう言うのは北乃くんといつも一緒の野口優人くん。
そう、初日に「北乃ー。」って言ったのはこの人。
あの事件以来、一方的にだけど、少し苦手だ。
桃「サボりだって。」
ほんとに人気者なんだなってつくづく思う。
北乃くんが休みなだけで、女子たちのテンションが一気に下がる。
私が休んでもきっとこんなことにはならないだろうな。
その日1日、北乃くんが来なかったおかげで黒板の文字はよく見えたけど、北乃くんがいないっていう寂しい思いの起こりを私は感じずにはいられなかった。
先生「北野、これ、神崎のプリントだから、職員室に持って行ってくれないかな?同じ名前だし。」
『同じ名前だからって、雑用だなんて。』
と思いながらも、神崎北乃と書いてある封筒を持つのが嬉しかった。
そんな雑用が2日続いて、帰ろうとしたとき、北乃くんの姿を見つけた。
北乃くんはベンチに寝転がって、眠っていた。
右腕を顔の上に乗せて、いいリズムで寝息をたてていた。
『しばらく見つめてから帰ろ…』
何考えてるんだろ…
こんなことしてる人とはあまり関わりたくないと思っていたけど、北乃くんは違った。
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