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日曜日の昼下がり。
串の町4丁目の小さな公園は子どもたちでいっぱいだ。
中にはお父さんが会社疲れも忘れて子どもと一緒に走り回る様子も見える。
「ねえねえお父さん」
「何だい?」
走り回っていた親子がすべり台の周りに現れる。
きゃらきゃらと笑いながら父の手から逃げようとする少年。
ふとすべり台の陰で立ち止まった。
「あれ、ってなあに?」
うーん?とお父さんが、かがんだ姿勢で息子が指差す方に視線を向けた。
「何だろうなあ?」
コンクリート製の柱にすべる部分が付いているタイプのすべり台だ。
柱は絵本で見るような塔をイメージして作られたのだろう、レンガの模様や窓の絵が描かれている。
そしてその陰には小さな扉があった。大人では屈まないと入れないような、子どもサイズ、といった大きさだ。
「掃除道具が入っているんじゃないかな」
お父さんは小さな扉に手を伸ばした。
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