串の町4丁目

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男はニタァと笑ってそのまま黒田を見た。 「お、オレじゃない!違う!」 男はまたニタァと笑って、次の瞬間、田辺の真横に現れた。 「…じゃあ、君?」 「…ち、違う」 うーんと男は唸って首を傾げた。口はそのままだ。 そして、 「うそつき」 男が座り込んでいた田辺に覆い被さった。 「わるい子、みいつけた」 「ゾウさんのお鼻かえして」 きらり、と何かが光った。 そして聞いたことがない音がした。男がさっと飛び退いた。 田辺の顔の中心から噴き出している真っ赤な血。 ゆっくり、ゆっくりと広がっていく血だまり。 驚愕して見開かれた、目。 幹介にはそれらがスローモーションで見えた。 鼻が、ない。 田辺の悲鳴が一拍遅れて始まった。鼻を探すように押さえて、痛みにまた手を離す。 そして悲鳴をあげた顔のままうつ伏せにどさりと倒れた。
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