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途端に砂場が盛り上がり始めた。もぐらが移動するみたいに小さい膨らみが黒田の周りを取り囲んでいく。
1つ、2つ。3つ、4つ。
その膨らみは徐々に頭の大きな子どもの姿になっていった。
「やめろ!!離せ、来るな!」
「おやま、こわした、」
「こわした、こわした」
「いけないんだ」
砂人形たちの小さな手が黒田の足に触れる。その腕がどんどん伸びてあっという間に黒田の太ももまでが砂場に埋もれてしまった。
やめろ、やめろと唾を飛ばしながら黒田は叫ぶ。目は血走って完全に錯乱状態だ。
すると振り回した腕が砂人形の顔に当たって窪んだ左目から上が吹き飛んだ。
「おめめが取れちゃった」
「ひどい、ひどい」
「代わりの目、ちょうだい」
砂人形の1つの手にスコップが握られている。その手がするすると登って…
グシャっと音がした。
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