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幹介は目をつぶり損ねた。何が起こるか予想はついたのに、まさかそんな、そんなひどいことが、と体がついていかなかったのだ。
砂と血にまみれた黒田自体も、もう何だか大きな砂人形に見えた。黒田の悲鳴は砂人形の笑い声にかき消されていく。
「もらった、もらった」
そして唐突に、ざぶんと砂が波のように押し寄せて黒田の体が包まれる。次の瞬間には普通の、元の砂場に戻っていた。黒田が蹴飛ばした山も。
そのてっぺんに、ポン、と丸い白い物体が地中から吐き出された。
ほんの2、3分だった。
ほんの2、3分前には笑っていたのに。今、目の前にあるのは友人のなれの果てだけだ。
「君のこと、知ってるよ」
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