28人が本棚に入れています
本棚に追加
田辺の悲鳴が上がった。
続いて黒田のうわっと言う声とドサッという音。
「大丈夫か?!」
幹介が慌てて立ち上がると田辺が体を起こした。
「痛ってえ…」
どうやらおふざけが過ぎて田辺はゾウから落ちたらしい。
そしてこれまたまぬけなことに、受け身が取れず地面に直撃したようだ。
黒田の方は悪びれもせず爆笑している。
「お前、ほんとまぬけだなあ…ってああ!!」
黒田が指差したのはピンク色の…ゾウの鼻、だったもの、だ。
「ほんとに壊したよ、お前。悪りいー」
ピンク色のゾウの鼻は田辺が乗っていた根元からぽっきりと折れてしまっている。
「どうするんだよ、これ…」
幹介がそれを拾いあげて元のあった位置に当ててみる。
が、破片が飛んでいってしまったのかぴったりとはまらない。
「接着剤とか買ってくるか?」
「駅前まで戻ってか?仕方ないだろ、それ。元々老朽化してたんだろ。」
黒田がめんどくさそうに顔をしかめた。
公園の中は端に街灯が1つあるだけなので薄暗い。
幹介がかがんでゾウを覗き込むと塗装のはがれた目が不気味に見えた。
笑顔なのがより怖い。
「おい、田辺何とかしろよ」
出た、黒田の無茶な要求。
最初のコメントを投稿しよう!