-ジャンプルート 浅瀬里奈-

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季節はそろそろ春になろうとしていた。 気温はそこそこ高く、半袖の服でもいいんじゃないかというこの日に私は白いワンピースというオシャレともいえない清楚な服装だった。 もう26歳にもなろうとしているのに、少し無理しちゃってるのかな…。 でも、この服装が好きな私はここにくる時には必ず着てくるようにしている。 あ、ここというのは私のお気に入りの場所で、なんて言ったらいいのかな…とにかく、高校の頃からの大切な場所なのだ。 野田学園近くのただ、なんの変哲のない道。 私は学園を卒業したあともここに通うのが好きだった。 ……こうしていると思いだすなぁ。 私の、高校生活――。 気持ちを切り替えて入学し、それから色々あって高校デビューを果たして……一人の男の子に恋をした。 それはまぎれもなく初恋で、高校三年までそれは続いて…。 そんなことを考えながら、高校生の頃を思い出す。 これから綴るのは、私――浅瀬里奈のそんな当時の物語だ。 「何してるんだ里奈――」 不意に後ろからかけられる声。 あ、そうだ。 忘れていた。 私の今の名前は、もう浅瀬じゃないんだ。
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