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時は戦国時代。
男は戦士となり、自分の国を賭けて戦うこの時代に…一人の少年が立ち上がる。
名は田中。
腰につけた名刀をゆっくりと抜きとり、体の芯に対して平行に構える。
そう―――彼は戦うことを己に課したのだ。
―――………
「いや何この始まり方!? 何いってんの…って言うか誰この声!?」
「例の如く鈴木さんだ」
「よく出てくるけど鈴木さんってホント何者なの!?
そろそろ正体教えて欲しいんだけど!!」
そう――己の刀に全てを賭けて……今、彼は
「まだ続ける気だこの人っ!!」
いつもと変わらず今日もまた僕のツッコミが市川君の部屋にとどろいていた。
みんなが受験勉強で苦しんでいる12月。
そんな時に何故僕が市川君の部屋にいるのかというと、少し相談に乗ってもらおうと思ったからだ。
僕は進学はせずに高校を出たら就職して社会に出るつもりだ。
だから今日はその相談をするためにきていたのだけれど、部屋に入ってそうそう鈴木さんの声が聞こえてきたためそちらに気を取られてしまった。
さて…話を戻さないと。
「悪いね、市川君も忙しい時に相談にのってもらって」
「ああ、それなら全然構わねえよ。俺もう大学合格しちゃってるし、四月までずっと暇だからな」
もう決まってたんだ…。
まだ冬休みに入ったばかりだというのにこの早さ…流石市川君だというところだろう。
僕はこんな彼を尊敬しているし、困った時に頼りになる友人が彼以外にあまりいないことから相談に乗ってもらうことにしたのだ。
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