一章 魔法師と化石少女

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 「私は只のしがない旅人ですよー。ちょっと旅費を稼ぎたく寄っただけでこんな拘束されて拝まれに来たわけではないんですよー」  声は届かないと分かっていながらも、形だけの抵抗は起こしてみている。  そう彼は今拘束されているのである、何故か。  別に違法的な何かを犯したわけではない。本当に気ままに近くにあった村に立ち寄っただけなのだ。  青と黒の独創的で刺青の様な模様がかかった、コートなのか浴衣なのか印象が定まらない独特な風貌を持った彼を最初村人達は警戒した。変わった風貌をしたよそ者が突然来訪してきたら当然の事であるが、青年の誠実な態度と、旅人が旅費を稼ぐ為に村を訪れる事は多々あるため話をしていくうちに村人達は歓迎してくれた。働く場所を用意してくれるだけではなく、仕事前の食事まで振舞われた。暖かい歓迎に青年も良い気持ちで仕事に励もうとした。  だがこの始末。色々と話が飛びすぎてしまったかのに見えるが本当にそれだけの出来事しかなかった。いつの間にかに青年は縛り上げられ、村人の前に晒し上げられ、村人全員にひれ伏された。            
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