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「…センセイ、言っちゃなんだがそんなに悲観する事でもないだろ、いじめなんざどこの世界にでもある。寺子屋だけに限らず、職場や自治体、何だったら家庭内にだってその行為は存在する。むしろいじめが無ければ今世界は回れないんだ。人間は他人を見下さなければ生きていけない、だから捌け口が必要だ」
「…だからと言っていじめていい事にはならんだろ」
「いいとは言っとらん、必要悪だと言ったんだ」
サカエダは続ける、その目にはやはり光は映らない。
「ONE FOR ALL 、幻想郷に英語が普及していなくともこれくらいの学はあるだろ?」
「一人は皆の為に…、だったか、それがどうした」
「まさにそれじゃないか、一人が皆の為の捌け口になっている、理想の一つだ」
それまで聞いて、慧音は立ち上がる。
その顔は怒りに歪んでいる。
先ほどまでとは違い、外部に怒気を撒き散らす。
「サカエダ…、お前は一体何を言いたい…?」
「別に何か言いたいということはない、むしろ、話があるのはセンセイの方だと思うが?」
今度はサカエダも立ち上がる。
その顔に表情は、やはりない。
光も返さない瞳が、彼女を見据える。
「依頼だろ?センセイ。別料金で相談に乗ってやろう」
怒りすらも、その目のうちに吸い込まれ、奥底へと沈んで行く。
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