ちなみに、ヘタレ勇者は…

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「ちょ、待って!その前に依頼だけ出させて!」 「あ、そういえば、お友達を探したいのでしたわね。わたくしったら、うっかりしていましたわ」 「依頼書は私が作成しよう。君の友人の特徴を教えてくれ」 「名前は紫藤愛良。腰ぐらいまでの黒髪に、大き目の黒眼で身長はサフィと同じくらいかな」 僕が愛良の特徴を説明していると、なぜかサフィの表情が暗くなった。 「リョウガさん、お友達とは、女の子なんですの?」 「そうだよ?僕の幼馴染なんだ。この世界に一緒に来たはずなんだけど、はぐれちゃったみたいで」 本当は僕が強制的に連れてきたんだけど、そこまでは言わなくていいよね。 そういえば無理やり巻き込んだし、愛良怒ってるかな? もしも愛良が怒ってたら……シバかれるね、絶対。 どうしよう、やっぱり依頼止めようかな。 けど一応愛良だって女の子だし、やっぱり知らない世界に一人だと不安だよね。 会ったときに全力で謝ればいいか。 「じゃあ、お願いします。報酬は……」 「……王家が出しますわ。安心なさってください」 「え、でも悪いよ!」 「ですが!」 「では、私が立て替えておこう。お金が出来た時に返してくれたらいい。黒髪は珍しいからすぐに見つかるだろう」 ネルさんがそう提案してくれたから、サフィとの言い合いもなんとか終わった。 なんで急に突っかかってきたんだろ?
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