96人が本棚に入れています
本棚に追加
男の足は震えだしていたが、勇気を振り絞ると、恐る恐る部屋の中へと入っていった。
忍び足で部屋の中を回る。
床に散らばっているものや棚の中などを探索し、何を取られたのかを確認していく。
まず最初に気付いたことは、印鑑がない。
印鑑が、通帳と共になくなっていた。
そして包丁もなくなっていた。
男はさらに用心した。
慎重に、他に盗まれたものはないか確認する。
だが、他に盗られたというものは、特に見つけることはできなかった。
まぁ当然だろう。と、男は気を少し緩めた。
ここの家は一応一軒家だが、住んでいるのはこの男ただ一人だけなのだ。
また、出張などもたびたびあったので、男の家には金目のものは印鑑と通帳ぐらいしかなかったのである。
最初のコメントを投稿しよう!