こげ茶色の髪の女

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 男はふと、まだ警察に連絡していなかったことを思い出した。  ズボンのポケットから携帯電話を取り出す。  と、ここにきて急に、男はお腹に痛みを感じた。  どうやらお腹を壊してしまったようだ。  犯人がいないことを確認し終わって、少し安心したから感じた痛みなのかもしれなかった。  お腹が張っていた。  そして便意をもよおした。  男はしぶしぶ、携帯電話を片手にトイレに入った。  空き巣にトイレ中に侵入され、襲われるかも知れないという思考が一瞬頭をよぎり、男はトイレにきっちり鍵をかけた。  そしてズボンとトランクスをずらし、便器に腰かける。  うつむくように携帯電話を構え、ボタンを押していく。  …………1……1……  そのとき、視界の上端に何か動くものをとらえた。  ゆっくりと顔を上げていく。
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