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【通話】に伸びかけた指が、緊張で震えた。
この電話が、何のために掛かってきたのか分からない。
結局ボクたちは友達にすら戻れないという、最後通告を言い渡すためかも知れない――
……否!!
それでもボクは。
そんなのは、嫌だ。
【あんなコト】くらいで――、純平を失うのは、嫌だ。
【通話】を押す。
携帯を耳に当てる。
話をしなければ。
今、ちゃんと、向き合わなければ。
『――……おう』
「……うん」
気まずいのは、お互い様。
きっと純平の方が、辛い。
『……1人?』
「うん」
苦しまないでって、助けてやりたいって、あんなに強く思っていたはずなのに。
最後に追い詰めたのはボクだった。
『なぁ、アレさ……木曜日の、アレ』
「……うん」
心臓をギュッと握られたような痛みが、胸に走る。
『やっぱ、なかったコトになんか――、出来ねぇみたい、俺』
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