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放課後の図書室はいつものことながら人の出入りも少なく、落ち着いた時間が流れていた。
ボクは冬場の定位置である陽の当たる窓辺の席で頬杖をつきながら、窓の外をぼんやりと眺める。
ここからちょうど、グラウンドを走り回るサッカー部員たちの姿が見下ろせた。
威勢のよい声を張り上げているに違いないのだけど、窓に遮断されてそれは漠然とした音にしか聞こえず、図書室の静寂を破るには至らない――、
いや、一瞬ひと際大きな声が飛び、それだけはクリアにここまで届いた。
それが聞き慣れた友人の声であることに気付き、自然と口元が緩む。
隣に座る少女もその声に気付いたのか、一瞬だけ手元の本から顔を上げる。
そして何事もなかったかのように、また静かに読書を再開した。
ぱらり。
彼女がページをめくるたび、緩いパーマが施されたピンクベージュの綺麗な髪が微かに揺れた。
パーマやカラーリングに痛めつけられた気配など微塵もない、毛先まで艶のある長い髪が。
隣から定期的に聞こえてくる紙をめくる小さな音は子守唄のようで、今日もまた、瞼が少しずつ重くなってくる。
静かな空間。
居心地の良い、時間。
は、突然破られた。
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