~秀多~想い寄せる相手。

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「〝自分じゃ分からないことは、人からヒントを得ろ〟」 (そういやどこかのじいちゃんが言っていたなぁ~・・・) モノは試しと言ってはなんだけど 「慎也、拓哉。聞いてもいいか?」 「ん?」「あ?」 二人同時に振り返られると、とことんこいつらは、そっくりだと思う。 こいつらに聞いてヒントなんてあるのだろうか。 自分を疑いつつ聞いた。 「今の俺は、誰のこと想ってると思う?」 「・・・。」 二人揃って黙った。 (やっぱりこいつらには頭使う質問だったか・・・) そう諦めかけてた。 「あの子じゃないのか?」 慎也が思いついたように答えた。 「あの子って?」 「ほら。ここ最近お前、毎日会ってるだろ?」 毎日会っている相手といえば・・・あの小学生のことしか浮かばない。 (でも、歳が離れすぎだろさすがに・・・ロリコンだと思われそうだ。) 他にいくら考えても思いつかない。とりあえず答えてみる。 「夏香のこと・・・言ってんのか?」 「そうそう。夏香ちゃんだっけ?まぁその子のことどうなんだよ」 「うっわ! 秀多ロリコンかよ! きっもちわりー・・・」と 拓哉が嫌そうに言う。 (やはりこいつだけは、そこに反応する。成績が最低なだけあるな。) 「お前は、黙ってろ!」 そう言うと物珍しく、慎也がどこから出したのか、ガムテープで拓哉の口を塞いだ。 こんなことは珍しい。 慎也だけは、真剣に考えてくれそうだと思った。 ヒントが見つかるかもしれない。 「慎也は、なんで夏香だと思うんだよ。」 慎也は、拓哉を抑えこみながら真剣な眼差しで答えた。 「叶え山で出会った相手だろ? 運命って言ってもいいんじゃねぇか?」 「は?」 俺は唖然とした。 ついに調子に乗って頭が壊れてしまったのか。 少女漫画のようなことを言い出している。 「お前、何少女漫画みたいなこと言ってんだよ」 「いやいや、そういう意味じゃなくて言い伝えからしてだよ」 「言い伝え?」 「ほら、叶え山は、願いを叶えてくれるだろ? ならそこで出会った奴とは、 何らかの意味があるか。もしくは、お前の願いだったかもしれないだろ?」 「・・・願いでは、ないな。たぶん・・・」 願い。思い当たるふちは何もない。 いや?待てよあるかもしれない。 小さい頃の願いだ。
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