度胸試し

2/4
17人が本棚に入れています
本棚に追加
/25ページ
 私は、お母さんと一緒におばあちゃんの家に住むことになった。 都会での生活に慣れていたから田舎での 暮らしが不安でたまらない。 友達はできる? 迷子にならない? 幽霊とかでるのかな? 頭の中では、不安ばかりが過る。 そんなことをよそに私は 新しい学校の新しい教室の前にいた。 「さあ。それでは新しいお友達を紹介します。」 新しい担任の先生がそう言うと私を教室へと入れる。 入ると同時に、小さな教室には6人しか生徒達がいなかった。 きらきらとした目で嬉しそうに 私を見る。 その中で一人だけあきらかに服装からして 他の子たちと違い、育ちの良さそうなお姫様みたいな子がいた。 (都会から来た子なのかな?)と疑問に思いつつ じっと見つめてしまった。 その子もこちらに気づいたのか、笑顔で返してきた。 担任の先生が黒板に名前を書き始める。 書き終えると、中腰になり 「さぁ、自己紹介。できる?」 そう耳元で囁いた。 こくりと私は頷いて 「はじめまして!道川 夏香と言います。  よろしくお願いします。」 明るく振舞った。 言い終えると同時に、拍手が鳴り響く。 その後は席に座って授業を無事に終え、昼休みになった。 鐘が鳴るとみんな運動場へと飛び出して行く。 私はただ、教室から窓を眺めていた。 すると 「ねぇ! 一緒に遊ぼうよ!」 不意に声をかけられて振り向くと あのお姫様みたいな女の子だ。 「私・・・教室にいるよ。」 作り笑いで答えた。 緊張していて動けないのもあった。 「・・・そう」と呟く女の子は少し、しょんぼりとした表情をした。 (断らなきゃ良かったかな・・・) 言ってしまったことに後悔したが、その子は元気が出たように 「あのね!夏香ちゃん!叶え山のトンネルに  幽霊がでるんだって!」 「幽霊?」 いきなり幽霊の話を持ちかけた。
/25ページ

最初のコメントを投稿しよう!