トンネルの友達

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「秀多・・・しゅうた君!」 「俺、お前よりはるかに歳上なんだけど。」 そんなたわいのない会話を終わらせるかのように お寺の鐘が鳴る。 「あ。帰らなきゃ!」 「そうだな。おこちゃまは、帰りな。」 「おこちゃまじゃない! 秀多お兄ちゃんは?」 「俺はもう少しいる。」 ここでもう会えなくなるのだろうか。 そう思うと、寂しさがこみ上げてきた。 無理だろうと思いながら訪ねる。 「また会える?・・・」 「あー・・・会えるんじゃない?たぶん・・・」 あいまいな答えだったが”会える”ということには 変わりないと思った。 「ホント!? じゃあ、明日! また会おう!」 とても嬉しかった。 だが秀多お兄ちゃんは 「よ・・・用事が、あるから・・・。」 そう言った。 でも私は自分でも分からないくらい、会いたい想いが強かった。 「わかった! 終わるまで待ってる!」 「はぁ!? お前なぁ・・・」 私の答えに秀多お兄ちゃんはため息をつく。 やっぱり無理なお願いだったのだろうか。  思い悩んだ末、おばあちゃんの言葉を思い出す。 「そういえばね。お互いの名前を知ったら友達なんだよって おばあちゃんが言ってたの」 「・・・。わかったよ。」 「やったー!」 その答えに私は、飛び跳ねて喜んだ。 おばあちゃんのおかげ。
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