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~秀多~想い寄せる相手。
「秀多ー! 一緒に帰ろうぜ!」と慎也。
「俺も俺もー!」と飛びついてくる拓哉。
「わーかったよ!」と半分キレ気味の俺。
いつもの帰りの風景。
でも、いつものことだから嫌なのだ。
なぜなら・・・
「あ。美男美女だ」
「おい。拓哉」
あの子が彼氏と一緒に帰るところを
見てしまうからだ。
「ごめん。秀多・・・」
「・・・別に。」
俺はそっぽを向き、早足で歩き出した。
「行くぞ。」
早くこの場を離れたい一心で。
「あ! 待てよ」
慎也と拓哉が後を追いかけてきた。
すると慎也が
「秀多。一目惚れなんてあんまし良くないもんだぜ?」
こいつは、何を言い出してんだ。
「一目惚れってのは、見た目だけを見てるから。中身はわかってないだろ?」
「そーだな」
俺は、捨てるように言い返した。
それでも続けて慎也は話す。
「だから。中身から好きになるやつのことの方が本当に好きな奴なんだよ!」
「よっ! 慎也ちゃ~ん!」
「決め台詞決めたぜ!」みたいなドヤ顔で
それを褒め称える拓哉。
「・・・。」何も言えない。
言われてみればそうかもしれない。
話しもろくにしてない相手の好きな物や、好きな音楽。
趣味さえも知らない。
なら、どこが好きと言えるのだろうか。
見た目だけで捕らわれていて、いいものなのか。
もう・・・自分の想いを寄せる相手が分からない。
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