第1章

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アマリリス1 雨がポツポツと降り始めてきた。ここから家に引き返すよりは本屋で立ち読みでもして雨宿りしたほうがよさそうだ。リカコは小走りで公園を横切り先を急いだ。しかし雨は激しくなる一方で本屋に着く頃には髪も服もずぶ濡れだった。 「困ったなぁ、どうしよう」 これでは中には入れない。あいにくバッグの中には薄いハンカチが一枚あるだけだった。リカコは仕方なくそのハンカチを広げ濡れた髪を拭いた。ふと気付くと跳ね上げた泥で靴も足も汚れている。こんなことなら家に戻ったほうがましだった。リカコは携帯を取出し裕也に電話した。 byジャニス アマリリス2 裕也は駅のホームで闘っていた。若い茶髪の男が、裕也の持っていた傘に触れて因縁をつけて来たのだった。 男はいきなり裕也のみぞおちにこぶしを叩きこんだ。いや、叩きこもうとした。裕也は軽く体をひねると、男の手首を傘で打ち叩いた。それから男の手首を取ると、傘の先で額を突き刺した。 「ギャッ!」 男は傘の先を額に刺されたまま、ホームから後ろ向きに転落した。 その時、裕也の携帯が胸で振動を始めた。裕也は携帯を取った。 「はい。裕也です。リカコ、どうした?」 裕也の周りに鉄道警察隊が集まって来た。
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