第3章

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アマリリス29 静まりかえった地下室にノウェとアマリリスの声だけが聞こえる。そして『ひとつ…』『ふたつ…』『みっつ』二人が数え終わるのと同時に一発の乾いた銃声が響き渡った。アマリリスはギュッと閉じた目をゆっくり開いた。目の前にはノウェが呆然と立ち尽くしていた。そして突然、背後からは金田一警部の声が…。「ノウェ、どうやらお前の悪事もここまでのようだな」金田一警部は、さいたま市内で頻発している夢遊病者による事件を極秘で捜査していたのだ。こうしてノウェはついに逮捕された。「裕也ぁ!あの歌…嬉しかったよ!!」 アマリリス30 裕也はリカコをひしと抱きしめた。これほどリカコが愛おしく思えたことはなかった。リカコは裕也のために自分の命の危険も省みず、ノウェと決闘をしたのである。二人はぽぴや一馬やリナやミンを救い出すと、ドリーム枕に火をつけた。枕の中の羽毛が空に舞い上がり、ハンネの森を覆った。「もうドリーム枕はこりごりだよ」帰りの車を運転しながら裕也が言った。「裕也ごめんね。今度はヴィーナス枕にするから」「ヴィーナス枕ねえ。どんな夢が見られるのかな」裕也が笑った。終わり。
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