第4章

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アマリリス1 結婚前のカップルが必ず破局してしまうというジンクスのある場所は全国各地に存在するようだ。その一つに『上野公園の不忍の池』がある。その池のボートにカップルで乗ると仲の良かった恋人同士は、まるでそれが運命と決まっていたかのように悲しい結末を迎えるらしい。「どうしてもボートに乗りたいの!」リカコはまだ寝呆けマナコの裕也に言った。上野公園には結婚前に黄金の仮面を盗んだ時以来、出掛けていなかった。「なんでボートなんて、別れたいわけ?」苦笑いをする裕也にリカコは言った。「何言ってんの?私たち結婚してんのよ」 byジャニス アマリリス2 二人は貸しボート屋へ行った。老人が一人のんびりとタバコをすっていた。老人は二人を見るなり、驚いたような声を上げた。「お二人さん、一緒に乗るのはおよしなさい。必ずや不幸が訪れますぞ」「おじいさん、私達は結婚してるから大丈夫よ」リカコは老人の声を無視して、さっさとボートに乗り込んだ。その時、不吉な出来事が起こった。ボートは大きく揺れだし、今にもひっくり返りそうになった。「裕也、助けて!」リカコはボートにつかまりながら叫んだ。老人は立ち上がると、釣り竿でボートをはっしとたたいた。するとボートの揺れはピタリとおさまった。
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