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将彦がハミングバードを出たのは、午後六時過ぎだった。彼は家へ帰るのに寄り道をした。自転車で家から十分くらいのところの川にかかる橋へ、彼は駅から歩いて向かった。
自動車の交通量の多さが難点だが、彼は、そこから見る山の景色を好きだった。
もうすでに沈みかけた夕陽が山々に当たっていた。何も考えず山を見ていると、心に重く圧し掛かっていたものが軽くなるようだった。橋の欄干に寄りかかり、将彦はしばらく山と空の色が変わるのを見つめていた。
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