再会

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 暁子が東と仕事をした数年前、彼はその能力を暁子に向けてきた。暁子はそれを冷静に見ていたので彼との微妙な距離感を保ち難なくやり過ごした。どうやら彼はその力で女性を支配することを覚えてしまったらしい。そして、数年経った今でも彼のそのスタンスは変わっていない、と暁子は思った。  「テツ、本当にうちのスタッフには手を出さないで」  受付から少し離れたところで暁子は釘をさした。  「はい。分かりました」  東は少し苦笑いをしながら、うるさそうな態度で答えた。  次の瞬間、暁子は東の顔が、冷徹な表情に変わるのを見た。その視線の先には、将彦と千鶴がいた。  「なんかあった?」  「え、ええ、知り合いがいたもので。暁子さんが案内したというのは彼らのことですか?」  「そうだけど、今日受付を手伝ってもらっている将彦くんと、土屋さんっていう名前のお客さんよ」  東の顔が少し険しくなった。暁子は東の様子を見た。  「なんでそんなに恐い顔してるの?」  「僕、恐い顔してましたか?」  すぐにいつもの爽やかな笑顔に戻って、東は言った。  「実はその千鶴っていう女性は僕の彼女で、ちょっと驚いたんです。偶然出会えるなんて、やっぱりこれ運命って言うんですよね」  東はおどけて言った。しかし、目は冷たいままだった。  「そうだったの・・・彼らを二人きりにさせて申し訳なかったかしら?」  暁子は東の顔から視線をはずして言った。  「いえいえ、二人とも知らない間柄じゃないんだから、写真を見ることぐらい普通ですよ。声を掛けていきたいですが、やっぱり今日はもう戻ります。緊急にやらなければいけないことを思い出しました」  「そうなの?分かったわ。写真展は一ヶ月間やってるから、いつでも来て」  笑顔で暁子に挨拶をして、東は足早に立ち去った。彼の後姿を見ながら暁子は、彼が全く変わっていないことに頭を抱えた。  「ちょっと手強い敵、作っちゃったかしらね・・・」  暁子は苦笑いをした。  一方で、東のことなど思いも掛けない二人は、いつしか楽しそうに、しゃべりながら写真を眺めていた。  「さてと、また解説でもしてあげようかな?」  暁子は楽しそうに言って、二人の間に入っていった。
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