プロローグ

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「新人を第四部隊に入れるというのは本当ですか?」 フェンリル極東支部内の支部長室に愛部巧(あいぶ たくみ)は赴いていた。 「ああ。君の班だからこそ私はそうしたほうがいいと思ったんだよ」 そういうのはフェンリル極東支部の支部長代理を務めるペイラー=サカキだ。 前支部長が一ヶ月ほど前に起こった事故で殉職したため現在はラボラトリで前支部長の右腕として極東支部を支えてきたサカキが代理として担っていた。 もっとも、前支部長が亡くなられた理由は事故なんかではなかったのだが、真相は極東支部の極秘事項となっていることは、また別のお話。 「考え直して下さい。第四部隊は今やフェンリル極東支部の最前線です。その為生存率も極めて低くなります。ましてや新人が入るなど言語道断です」 巧はサカキに言った。 「分かっているよ。最前線だからこそ彼女を配属させるんじゃないか」 「あんたは人の話を聞いているのかっ!!」 バンッと巧は机を叩いた。 しかし、サカキは飄々とした態度で答えた。 「まあ落ち着いてくれ。この采配にはいくつか理由がある」
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