35人が本棚に入れています
本棚に追加
「……どういうことですか?」
「彼女が何かは君も知っているだろう?」
巧は頷いた。先日、教官から新人の新型がうちの部隊に配属されると伝えられていた。
「そういうことだよ。うちの支部には多くいるが、他の支部には新型はそうそういない。だからこそ新型には最前線に立って戦って欲しいのだよ。君も含めてね」
しかし、巧はまだ納得いかなかった。
「しかし、なにもうちの部隊でなくても。先程も言いましたが、うちの部隊は新人には大変危険です。それは博士も知っているでしょう」
巧の言葉にサカキはそこなんだがね、といってから続けた。
「君達、第四部隊は今三人で行動しているようじゃないか。仮にも極東支部の最前線。人員は多くいたほうがいいだろう」
「三人といっても極東支部屈指の精鋭です。今のところは滞りなくいっています」
「今のところはね」
巧の言葉にサカキは間髪入れずにつっかかった。
「しかし事態というのは起きてからでは遅いのだよ。それこそリンドウ君の時みたくね」
「し、新型をうちの部隊に入れたいのなら第一部隊にいるアリサをうちの部隊に入れて新人を第一部隊に配属させれば良いのでは……」
巧の言葉に今度はサカキが口調を強めた。
「まだ言うかね。君や零二君などのような例外もいるがゴッドイーターは基本的には団体戦だ。チームのメンバーが替われば連係などを作り直す必要がある。それには多くの時間がかかる。それこそ、君達が一番よく理解しているはずでは?」
「……っ」
巧は押し黙った。
「そういうことだよ。彼女に関しては適合率こそ他の新型に劣っているが、戦力的には君に継ぐ逸材とも言われているんだ。君の指導もあれば死ぬこともまずないだろう」
「……わかりました。失礼します」
巧はそう言って支部長室を後にした。
最初のコメントを投稿しよう!