バレンタインの朝に

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悲嘆にくれる智行さんを、私は慰めた。 慰めて、慰めて、1年たたないうちに私たちは付き合うようになった。 ずっと好きだった。 だから、私の父が癌にかかって余命いくばくもないと分かったとき、あなたは私と結婚して父にその姿を見せてくれた。 それが、3年目のバレンタインの日。 寒い季節の式だったけど、あなたのおかげで父は私の花嫁衣装を見てから逝くことができた。 ありがとう、智行さん。 そして、私は幸せだった。 幸せだと思った。 でも。 それは、私だけが思っていただけだったのね。
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