バレンタインの朝に

結婚して、私は会社を辞めた。

専業主婦になった。

もちろん、会社のみんなから祝福してもらっての寿退職だった。

私は、掃除をして洗濯をして彼の好きなものを作って待つ。

それは、幸せな時間のはずだった。

でも、結婚してから彼の帰宅は徐々に遅くなっていった。

営業だし、年々大きな仕事を任されるようになってきたからだと思っていた。

休日には少しは話もできたし、彼は優しかったけれど、４年目のバレンタインの日、彼は日付が変わるまで帰ってこなかった。

チョコレートを用意していたのに。

結婚記念日でもあったのに。