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ビ、ビビった…
どうやら寝言のようだ。
「…え?」
手を引こうとすると、逆に唯人に手を握られた。
起きた様子がない―…という事は無意識か。
握った手にすり寄ってくる唯人。
「…俺、どうすればいいワケ?」
手を解こうにも起こしてしまいそうで怖い。
とりあえず…様子見るか。
どーせ暇だし。
嬉しそうに俺の手に顔を寄せて眠る唯人。
「何かネコに懐かれた気分。」
…なぁ、どうしてお前は
俺を怖がらない?
気持ち悪がらない?
拒絶しない?
いつも真っすぐに俺の目を見る。
「…ヘンな奴。」
あの純粋に好意だけを浮かべた瞳を思い出し、フッと笑みが浮かぶ。
いい加減起きろ。
それでまた、その茶色い瞳に俺を映せ。
空いた方の手でデコピンすると、ハッと目を覚ました。
「おはよ、唯人。」
状況が理解できていないのか、慌てている唯人が可笑しくて、笑いそうになるのを必死に堪えた。
洸side END
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