君が不機嫌な理由

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調べてみれば、この動画は1週間ほど前から出回っていて、ほぼ全校生徒の手に渡っているらしい。 どいつが持ってるか特定するのは難しいか… 「そもそも、何で俺らは今まで気付かなかった?」 そんなに有名なら、もっと早くに耳に入って来たはずじゃあ… 「あなたバカですか、洸?」 「あぁ?」 いきなりバカ呼ばわりされて弘斗を睨む。だが、それにひるんだ様子もなく言葉を続ける。 「洸、あなた自分の立場を思い出して下さいよ。」 「…立場?」 「あなたは校内トップで、俺たち以外であなたに話ができる生徒も教師もいないでしょう。」 若干呆れ気味の弘斗。 んー… 立場とかトップになんて興味無いけど、確かに俺は恐れられている。 「そんな洸のグループに所属している唯人君の動画ですよ?」 あぁ、そういう事か。 「俺達のうちの誰かにバレれば、即血祭りにされる…ってところか。」 「はい。ですから情報が漏れないように、裏で内密に取引が行われていたんですよ。」 それはそれは、ご苦労なこったな。 そこまでして手に入れる価値があるってか? …いや、唯人ならあるのかも…?
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